
Webゲームプラットフォーム『Dreamoire(ドリモワ)』でのクラウドファンディング開始を記念し、かつてイケメンシリーズ(イケシリ)の『新章イケメン大奥◆禁じられた恋』の立ち上げを支えた、メインスタッフへの特別インタビューが実現しました。
2012年、乙女ゲームの新時代を切り拓くべく、驚異的なスピード感で駆け抜けた制作現場。
そこにあったのは、「最高のときめきを届けたい」と願ったクリエイターたちの純粋な情熱でした。
メインプランナー兼メインシナリオライターを務めた担当者に、『新章イケメン大奥◆禁じられた恋』誕生の舞台裏と、今だから笑って話せる「全力投球の日々」を語っていただきました。
「イケメンシリーズ(イケシリ)」のiOS向けアプリ第5弾としてリリースされた。
男女逆転の大奥を舞台に、女将軍・家光の代わりに上様をすることになった主人公が、鬼畜な側室候補や一途で爽やかな家光の兄、気まぐれな第二正室候補といった魅力的なイケメンたちとの恋に落ちるストーリーを描く。

『新章イケメン大奥◆禁じられた恋』の 立ち上げ時のメインプランナー兼メインシナリオライター(以下「ライター」):現在は株式会社サイバードでシナリオディレクターとして、企画セクションと連携しながら、シナリオ全体のクオリティ管理や進行管理を担当。
――まずは、当時の『新章イケメン大奥◆禁じられた恋(以下、新章大奥)』への関わり方を教えてください。
ライター: 新規開発時のプランナー兼シナリオライターでした。企画書の作成から社内立案まではディレクター的に立ち回り、その後は本編執筆に比重を移しました。
リリース後もしばらくは運用に携わっていましたね。
――プランナーとライターの兼務は、かなりハードだったのではないでしょうか?
ライター: 当時の『イケメンシリーズ』は今ほど分業が進んでいなくて、「運営にまつわるすべてをやる」のが普通だったんです。
プランナー2人で、シナリオもグラフィックも要件定義も全部やりましょうみたいな感じだったので、兼務状態みたいなのが割と普通でした。当時の上長も同様の動きをしていましたね。
――もともとライティングの経験はあったのですか?
ライター: いいえ、最初は別部署のプランナーでした。イケメンシリーズを担当する部署へ異動してから、当時の先輩に「シナリオも書いてみない?」と誘われたのがきっかけです。
最初はフィーチャーフォン版(携帯キャリア公式サイト版)『イケメン大奥◆恋の園』をスマートフォン(ソーシャル)版へリメイクする際の編集・加筆から入り、構成力や話の膨らまし方等のストーリーの作り方を学びつつ、ライターとしての下積みみたいなことをして、過ごしていた時期がありました。
その下積み時代を経て、後の『新章大奥』執筆へと繋がっていった形です。
――前作からコンセプトを引き継いだ理由を教えてください。
ライター: 男女逆転大奥自体は、もともとフィーチャーフォン版の『イケメン大奥◆恋の園』から引き継いだコンセプトでした。
当時は、大奥をテーマにした大河ドラマが話題になっていた時期で、お客さまにとっても展開が想像しやすく、受け入れられやすいテーマであるという意図で採用されたと聞いています。
そこで、前作の魅力を大切にしつつ、どうすればもっとドキドキしてもらえるかを深掘りしていきました。
――主人公の設定も、前作と差別化されていますよね。
ライター: 『イケメン大奥◆恋の園』と共通させるところは共通させたいと思っていました。なので将軍の影武者自体は元々同じなんですよね。『イケメン大奥』と『新章イケメン大奥』では主人公の設定を変え、性格も若干受け身気質を薄れさせるようにしました。
『イケメン大奥』の時は両親と一緒に暮らしていましたが、『新章イケメン大奥』は親元を離れて奉公している設定に変更して、親への義理を描くシーンを削ぎ落としました。お客さまはストーリーにおいて、両親とのやり取りよりも、カレとの関係を求めていると考えたからです。
一番大きく変更をしたのは、「恋を推奨する」か「恋を禁止する」かという点です。前作は正室を選んで恋をすることを推奨されますが、『新章大奥』では「家光が戻るまで影武者を務めあげること」「決して恋に落ちてはならないこと」を命じられます。このミッションの違いがカレらとの関係性を変化させ、禁じられるからこそ燃え上がる恋愛を際立たせることを意図としていました。
――そこまで設定を落とし込むまでにどのくらいかかったのでしょうか?
割と余裕がなくてですね(笑)。当時は4ヶ月に1本のペースで新作を出しているようなスピード感だったので、直前で担当していた他タイトルの本編を書き終えてすぐ、1ヶ月ほどで練り上げた記憶があります。
実際の制作期間も、わずか3ヶ月ほどでリリースまで駆け抜けました。
――執筆に携わる中で、ご自身の印象に残っているカレは誰でしたか?
夏津ですね。『新章大奥』のタイトルの顔だった鷹司と主人公を奪い合う人物として一番輝くのはなんだろう、とあれこれ考えた記憶があります。

――2キャラの共通ルートから分岐する「VS本編」形式の難しさは?
ライター: 『イケメン大奥』と並行して運営していくことが決まっていたので、そことは異なる価値を提供できなければいけないということから、「奪い合われるVS本編」というコンセプトになりました。
この形式にしたことで、お客さまには「大奥」というシチュエーションから連想する「大勢に奪い合われる」体験をしていただけるものになったかなと思っています。
難しかったことは、共通ルートでどちら側にも同じくらいの重たさでときめく体験をしてもらい、分岐後どちらと恋に落ちても納得感のある伏線を張りつつも、主人公が流されやすく見えないようにすることです。
VS本編の形式では共通ルートが長すぎるとテンポが悪くなるので、共通ルートの話数を通常は分岐まで120シーン前後あるところを、新章大奥は60シーンと半分のシーン数で主人公がどっちにも引かれつつもどっちも選ばないっていう状況を収めないといけないことに、執筆の際に苦しい思いをした記憶がありますが、これはこれで楽しかったですね。
――当時の制作チームはどのような雰囲気でしたか?
ライター: 私は「全部完璧にやらねば、できないところを見せてはいけない」と若さ故の追い詰めがあり、プレッシャーを感じていましたが、周りはそれを温かく支えてくれるプロフェッショナルばかり。実力者揃いの盤石なチームでした。
企画立案から任されるのが初めてだったこと、ヒット作の続編がイケメンシリーズとしては初めての試みだったことで、私自身は結構肩ひじ張っていたのですが、ペーペーの私がキャンキャンしてても大丈夫な懐の広いチームだったんだろうな……と今振り返ってみて思います。
――そんなチームと駆け抜けた、印象深いエピソードを教えてください。
ライター: リリース前日、ギリギリまでクオリティを上げたくて、デバッガーさんたちと一緒に実機デバッグをして、そのまま仮眠室に泊まったことですね。当時はパワープレイで押し切ることも多くて、リリースするまでの期間も椅子を2つ並べて即席のベッドにして寝たり(笑)。
あの大変な日々があったからこそ、今も愛される作品が生まれたのだと感じています。
後編へつづく
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後編では、サービス終了という「デジタル媒体の宿命」に直面した際の葛藤や、『Dreamoire(ドリモワ)』での復活の可能性を聞いた瞬間の喜びなど制作側の本音をお届けします。
株式会社サイバードが手掛けるWebゲームプラットフォーム『Dreamoire(ドリモワ)』の公式運営チームです。 Dreamoire(ドリモワ)に関する最新情報や、作品に込められたこだわり・制作秘話など、様々な情報を発信してまいります。