
「サービスが終わっても、王宮は永遠だって思えていた――」 インタビュー後編では、サービス運営中の苦労話やアバター制作の裏話、そして10年以上愛され続けた『イケメン王宮』のサービス終了に直面した際のディレクターの本音に迫ります。
プリンセスの皆様から贈られた「宝物」のエピソードや、『Dreamoire(ドリモワ)』での復活を通じた新たな希望について、ディレクターに語っていただきました。
「イケメンシリーズ(イケシリ)」の恋愛ゲームアプリとして2012年9月26日にリリースされた。
城を訪れた庶民であるはずの主人公が、なぜか王国の『プリンセス』に指名されてしまう。
『プリンセス』の役目は、「この国の王子様を見つける」こと。
王室直属の騎士団長との秘密の誓い、国王候補の公爵との真夜中の密会などの出会いを経て、たった1人の王子様を見つけるストーリー。

「イケメンシリーズ(イケシリ)」の恋愛ゲームアプリとして2014年4月30日にリリースされた。
『イケメン王宮◆真夜中のシンデレラ』の彼らや世界観・舞台設定はそのままに、ストーリーを現代に移した作品です。
主人公のOLが旅行中の思いがけないアクシデントから辿り着いた国ウィスタリアで、期間限定のプリンスに選ばれ、そこで出会うさまざまなイケメンたちと恋に落ちていくストーリー。

『イケメン王宮◆真夜中のシンデレラ』の立ち上げ時のディレクターS.K (以下「S.Kディレクター」):現在は株式会社サイバードでプロデューサーとして、全セクションと連携しながら、プロジェクトの方針決定、予算管理、品質管理を担当。
――「これは本当に大変だった」と今でも思い出すような出来事はありますか?
S.Kディレクター:『王宮』は一番最初のリリース時、実はガラケー向けのサービスだったんです。その数ヶ月後にスマホアプリ版をリリースし、しばらくはガラケーとスマホの両方で並行して運営していました。
スマホの端末も高画質になっていき、ガラケー用の画像ではどうしても解像度が足りず、全体的にガビガビした粗い表示になってしまいがちでした。アバターアイテムのデザイン自体はすごく可愛いのに、スマホの画面では見づらい状態になってしまっていて……。
そこで運営開始から数年が経ったタイミングで、アプリ版の画質を全面的に向上させようという大改革に踏み切ったんです。
これまで配信した過去のアバターアイテムも含めて、すべての画像データを高画質で書き直しました。膨大なデータを再登録してデバッグを繰り返す作業は、思い返しても本当に大変でしたね。
それでも、高画質化したことでお客様がアバター機能の魅力により気づいてくださるようになり、「あのとき踏ん張って本当に良かった」と心から思いました。おそらくリリースして2〜3年目の決断だったと思いますが、もしもっと遅い時期だったらデータ量が膨大すぎて対応しきれなかったはずです。
あのタイミングで決断できたからこそ、その後10年を超える息の長いサービスへと繋がったのだと感じています。
――イケシリ初期のタイトルといえば、アバターの熱量が非常に高かった印象です。制作時に気をつけていたことや、反響が大きかったアバターの思い出についてお聞かせください。
S.Kディレクター:「アプリの中の世界では、中世ヨーロッパのプリンセスになれる」という、女の子の憧れをそのまま詰め込めるようなデザインを常に意識していました。現実の世界では絶対に着れないような豪華なドレスなど、ファンタジーの世界に自分自身が本当に溶け込めるようなクオリティを目指していました。
今ではイケメンシリーズでは当たり前になっている「彼ぐるみ」という名称は実は王宮が初ではあるのですが、彼自身の素体アバターや彼ぐるみ、彼のペットアバターなど、彼のアイテムを多く入れ始めてご好評をいただき、他のイケメンシリーズにも展開されることになっていきました。
――当時失敗したと思ったテーマや施策はありましたか?
S.Kディレクター:アバターアイテムに関しては、実はたまに失敗もありました(笑)。
あるとき、梅雨の時期に合わせて「可愛い雨のテーマ」として、カエルのカッパを着てカエルの傘を持つアバターアイテムを企画したんです。制作中はメンバーと「カエルのカッパ、めちゃくちゃ可愛くない!?」と盛り上がってリリースしたのですが……驚くほど反応が悪くて(笑)。
プリンセスの皆様が求めている世界観とは少し違ったようで、猛省したほろ苦い思い出です。
――リアルイベントやSNS、お手紙などを通じて、お客さまから届いた言葉で、今でも大切にしているメッセージや、交流の中で驚いたエピソードはありますか?
S.Kディレクター:『王宮』は、イケメンシリーズの中で初めてリアルイベントを開催したタイトルなんです。それもあって思い入れは非常に強いですし、何年にもわたって遠方からすべてのイベントに足を運んでくださるお客様もいらっしゃって、どの交流もすべて大切な思い出です。
最近のエピソードになりますが、フィナーレイベントを開催した際、ファンの皆様がSNSで集めてくださったメッセージを一冊の立派な冊子にして、サプライズで直接手渡ししてくださったんです。
これだけの長い年月が経っても、これほど深く愛し、熱心に応援してくださるお客様がいる。その事実に「本当に『王宮』を愛してくださってありがとうございます」という気持ちで胸がいっぱいになりました。そのメッセージ冊子は、私の部屋の特等席に大切に飾ってある、永遠の宝物です。
――『Dreamoire(ドリモワ)』のリリースを聞いた時、どう感じられましたか?
S.Kディレクター:私は『王宮』の後もイケメンシリーズの様々なタイトルに携わってきましたし、自分が直接関わっていないタイトルが時代の流れで終了していく姿もたくさん見てきました。
仲の良い先輩ディレクターが立ち上げたタイトルが終了しなければならず苦悩していたときに、その先輩が「絶対に終わらせたくない」と決意をされていて。その姿を見て、私自身も「サービスを維持し、残し続けることこそが運営の正義だ」と改めて強く心に刻みました。
どれだけ愛されていても、諸事情でどうしても終了せざるを得ないタイトルがある。日の目を見なくなってしまった状況に対し、運営側としてももどかしいですし、
「私たちはまだこんなに求めているのに、なぜ届けてくれないの?」というお客様の行き場のない想いに対しても、申し訳なさと歯がゆさをずっと抱えていました。
だからこそ、運営を終了したタイトルに再び光を当てる『Dreamoire(ドリモワ)』という構想を聞いたときは、まさに両者のもどかしさを解消する素晴らしいマッチングだと確信しましたし、大きな希望の光が見えました。『王宮』だけでなく、これから先のすべてのタイトルにとっても、救いとなるサービスになるのではないかと期待しています。

――最後に『イケメン王宮』を今でも応援してくださる方へメッセージをお願いします。
S.Kディレクター:『王宮』のプリンセスの皆様が、これほど長い間、彼らとこの世界観を愛し続けてくださっていることに、心からの感謝を伝えたいです。いろんな新しいゲームが登場したとしても、皆様の心の根底にはいつもこの『王宮』があって、大切に想い続けてくださっていることを、SNSを通じて感じていました。
だからこそ、アプリが終わっても「王宮は永遠だ」と信じることができました。そして今、クラウドファンディングという皆様の力強い後押しや、新しいプラットフォームによって、その「永遠」という言葉が現実のものとなり、再び息を吹き返そうとしています。
また新しく始まる世界で、彼らとの物語を愛していただけたらこれ以上嬉しいことはありません。
クラウドファンディングが成功した際は本編の復活をきっかけに、「こんなに素敵な物語があったんだ」ということを、新しい方にも知っていただき、世界が広がっていってくれたら本当にありがたいなと思っています。
再びお城の扉を開くことができたのは、他でもないプリンセスの皆様の10年越しの愛のおかげです。本当に、感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました!
___________________________________
『イケメン王宮&100日間のプリンセス』のクラウドファンディングは来月8月17日まで続きます。
あの頃と変わらない笑顔で待つカレらとの永遠の恋をもう一度するためにどうぞ応援してください!
『イケメン王宮◆真夜中のシンデレラ』の 立ち上げ時のディレクターS.K :現在は株式会社サイバードでプロデューサーとして、全セクションと連携しながら、プロジェクトの方針決定、予算管理、品質管理を担当。